翻訳に興味がある!と思い立って調べてみると、翻訳業界にはいくつかの分野があることが分かります。
それぞれの説明については以下の記事をご参照ください。
本記事では、その中の映像翻訳について、さらに深掘りをしていきたいと思います。
映像翻訳ってなに?
映像翻訳とは
さまざまな映像コンテンツの外国語の音声情報を、日本語(もしくはまた別の言語)に翻訳すること。
映像コンテンツ(映像メディア)とは映像を用いて情報を伝える媒体のことで、もちろんパッと浮かぶのは映画やテレビ番組、ネット配信動画などかと思います。
しかし実は他にも映像を使用して情報を伝えようとする媒体は沢山あり、たとえば企業PRなどビジネス系の動画や研修などで使われる動画などもこれに含まれます。
要は、動画を使った外国語のメディアコンテンツは全て当てはまるということです。
最近ではネット配信系の動画も増えてきていますよね。
時代と共にめまぐるしく変化しているのが映像翻訳業界です。
映像翻訳の手法
映像翻訳の手法は大きく分けて字幕翻訳・吹替翻訳・ボイスオーバー・素材翻訳の4つが挙げられます。
字幕翻訳や吹替翻訳は、映像翻訳という纏まりの一部なんですね。
それぞれの手法について見ていきましょう。
字幕翻訳
映像の原音(もとの音声)はそのまま残し、映像内にテロップの形で日本語訳をはめ込んでいくという手法。
特殊なソフトを使用して、ハコ切り(ハコ書き)やスポッティングと呼ばれる作業をしたり、字幕を入力していく工程もあるので、専門的なスキルが求められます。
字幕翻訳の最大の特徴は文字数の制約であり、話者が話している秒数に対して文字数が決まります。少ない情報量の中で、原音のセリフのニュアンスを表現しなければならないので、言語に対する感性の高さが求められる手法です。
吹替翻訳
原音(もとの音声)を、そっくりすべて日本語に差し替える手法。
従来は、劇場公開映画が字幕でテレビ放映版が吹替というのが一般的でしたが、現在では若年層を中心に字幕離れが進み、吹替版の需要も増えています。
また、ウェブ配信の動画は小さい画面で観ることに配慮して吹替版を作るケースも多いようです。
では翻訳者は何をするのか。それは日本語版の台本制作です。
セリフ自体の翻訳に限らず、映像に出てくる音全てを書き出し、声優さんや役者さんが読む台本を作ります。
字幕翻訳のように字数制限に縛られることはありませんが、話者の表情や口の動き、ジェスチャーなどに合うようにセリフを練り込むことが求められます。
ボイスオーバー
原音(もとの音声)を残しながら、翻訳した日本語をかぶせる手法。
ドキュメンタリーやスポーツ、報道番組やバラエティなど、情報量の多いプログラムに使用されることが多いです。
吹替翻訳のように話者の口の動きにぴったり合わせる必要はないものの、声優さんが自然な速度で読み上げて原音と同じ速度になるように字数を調整する必要があり、情報の整理や取捨選択能力、分かりやすい日本語に置き換える技術が求められる手法です。
素材翻訳
外国語の映像素材の内容を翻訳する作業。
海外取材やロケの多い放送業界での需要が高いです。形態は様々で、概要をまとめる場合や、全ての発言を随一拾って訳す場合もあります。
台本が存在しない場合も多く、リスニング力が求められることも多い手法です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、映像翻訳の定義を確認し、翻訳の際に使われる4つの手法やその際に必要な技術などについてまとめました。
1つの手法のプロを極めている方や、オールマイティで立ち回る方、人によって選ぶ道は様々です。
仕事を受けているうちにだんだんと依頼されるジャンルや手法が固まってきて、いつの間にかそ一本化していたという話はよく聞きます。それもブランディング戦略として大事です。
しかし、この変化の激しい時代、やはり最初のうちはどれでも依頼があれば受けられるだけの技術は磨いておきたいなと個人的には思っています。